遺品整理会社を取材して    高倉 弘士

 

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終の諸相 遺品整理をとおして見えてくる死

遺品整理の仕事をしようとしたきっかけ

子供の時に隣に住んでいたおばあさんが廊下で亡くなっていました。

”おばあさんどうなるのかな”と、子供ながらに思っていました。しかしおばあさんの親戚は誰も来ませんでした。代わりに、うちの親がおばあさんの家を片付けている姿を見ていました。

「誰もやらないんだったら手伝わないといけないよね」

と漠然と思って手伝ったことが今思えばこの仕事をしたきっかけでした。

遺品整理の現状

会社創業から18年が経ちました。これまで仕事を辞めようと思ったことはありませんでした。自分がやらなければ誰もこの仕事をする人がいなくなると感じていたためです。

それがやり続けた理由だと思います。

現在の職員数は17名(20歳から70歳まで)、ゴミ屋敷の清掃を受けたり、お部屋で亡くなった孤独死の遺品整理と清掃を行います。

孤独死の現場ではないものを含めると月200件くらいあります。

孤独死の物件はその中でも2割ほどですが、もちろん時期によっては孤独死のない時期もあります。6月から10月が一番孤独死が多い時期になります。

孤独死は、夏場はニオイで気付きますが冬に亡くなった方は気づかれにくい状況があるようです。冬は乾燥していることもありますし、暖房をつけて部屋でこもっていることもあってあまりニオイがありません。

孤独だから死を選ぶのか

若者の孤独死も増えています。特に非正規の若者に多いように思います。ですが、経済的な理由から孤独死になるというのではないように思います。

現場での感覚では、孤独死は所得に関係なく起きています。

では、原因は何かというと半分が自ら死を選んだ人でもう半分は、病や不慮の事故など(ヒートショック等)で亡くなった人です。

その中で、身内や友人と連絡が取れない社会から孤立している人は、1割にも満たないと思います。社会から孤立している人は、人に関心がなく自分自身にも関心を持たない状態という人が多いように思います。

若者に自死が広がっている

今、日本では10〜20代の自死が最も多くなってきています。4月は高齢者の遺品整理に加えて若い方の現場も増える期間です。

厚生労働省は、月別自殺者数が最も多い3月を自殺対策強化月間と位置づけ啓発活動を行なっています。しかし、最近の傾向としては3月が終わり4月に入り比較的若い方の現場が多くなっているように思います。

一つの理由として新入職員として1ヶ月間働いて、理想と現実の違いから自殺してしまうという状況があるように思います。

逆算の仕事

80歳くらいのおばあさんの現場に行った時、ゴミ屋敷状態でした。ですが、最新の家電や生活品を買っていたのでお金がないというわけではありませんでした。

また、もう一人男性の方が一緒に暮らしていたような形跡があり、孤独ではなかったのではと思いました。遺品整理の仕事をしていると生前の暮らしの状況がある程度わかります。

遺品整理は、その方が亡くなった日からものを片付けていく仕事でいわば、逆算の行程です。その過程でどのように過ごしていたのか、希望を持って生きていたのか、亡くなった方の生前の生活を自然と感じ取れます。

遺品整理後に、遺族の方に”こういう生活をされていたと思います”とお話しすることもあります。

若い方の遺品整理の現場からは、「もう一度明日から頑張ろうとしていたのだな」ということが見えたりします。高齢の現場からは今日生きれたから明日も今日と同じように生きたい。と思っていたことや、娘や息子と疎遠にはなっているけど死んでしまったらどうやって保険を残してあげようなど、考えておられたことが伺えます。

遺品整理の現場の特徴

遺品整理の現場は、年齢によってその人の人生によっても変わってきます。戦争を経験している方はモノを大事にしておられ捨てない傾向にあります。

そのため、「もの屋敷」になる傾向があります。

もらったタオルや食器など「もったいないから」と使わずに未開封のものや壊れた家電製品が捨てられずにおいてあることが少なくありません。それが原因でもの屋敷になります。

いっぽうで、若い人たちは、ゴミ屋敷状態になることが多いように思います。なぜ、ゴミだらけになってしまうのかというと”どうやって整理するのか”というプロセスを教えられていないからだと思います。たぶん親に「片付けろ」だけ言われてこうやって片付けるというのが教えられていないのではないでしょうか。

だから、片付け方がわからなくなってゴミ屋敷のようになってしまうのではと思います。

日本と海外での孤独死の受け止め方

日本国内の取材は一時期に比べそれほど多くありません。今はヨーロッパなど海外からの取材が多くなっています。海外では孤独死ということがとても珍しい現象(海外では孤独死がない)として捉えられています。

カタールに本拠地を構えるアルジャジーラテレビ局が取材に来られた時には「日本は戦争ではなく、孤独死で死ぬ」という衝撃を受けていました。なぜ、先進国の日本で孤独死という現象は起きているのか、世界は不思議に感じています。

いっぽうで日本のメディアでは孤独死が社会問題化されて、すでに特別な現象ではなくなっており「いまさら」感が強くなっています。

孤独死の防ぎ方

孤独死を防ごうと考えるのであれば、極論ですが住宅のあり方を考え直す必要があると思います。

現在の住宅は、玄関のドアを開けて家の中のドアを閉めれば簡単に外との関係を断つことができてしまいます。家の中もドアや壁で仕切られていて家族と顔を合わさないこともできてしまいます。

住宅の構造がコミュニケーションの破綻を招いている面もあると思います。

例えば、ゴミ屋敷清掃の現場に行っても外観からはわかりません。ワイドショーでよく見るような家の外にまでゴミが溢れている家は実はそんなに多くありません。

ゴミ屋敷の多くはドアを開けるまで中がどうなっているかわからないという状況です。だからこそ、住宅の構造の問題が大きいと思います。

昔の日本家屋は引き戸の玄関が多かったと思いますが、開放感があり何かあったら外から覗けるようにもなっていました。

現在の多くは、ドアとドアでさえぎられていてとても寂しい感覚を覚えます。

福祉のひろばから抜粋

いかがだったでしょうか、ここまでは2019.9の福祉のひろばから抜粋いたしました。この後の内容は福祉のひろばの冊子にて購読できます。

http://www.sosyaken.jp/hiroba/products/detail.php?product_id=283

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